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「少年」光文社、1959(昭和34)年1月号~12月号
第(13)章「屋根うらの少年たち」より
明智探偵は、少年たちを、おくのほうへすすませて、じぶんは入り口のあげぶたのそばに立ちはだかっていましたが、そのとき、なにを思ったのか、クスクスと笑いだしました。
「ウフフフ……、おもしろいねえ。きみたちは、この屋根うらに、とじこめられてしまったんだよ」
探偵が、みょうなことをいうのです。なんだか、へんです。いったい、どうしたというのでしょう。
「先生、なぜお笑いになるのです。なにがおかしいのです」
小林君が、ふしぎそうに、たずねました。
「ウフフフ……、わからないかね」
「えッ、わからないかって?」
「きみは、いま、おれを先生ってよんだね。なぜ、おれが先生なんだね」
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