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「少女クラブ」講談社、1958(昭和33)年1月号~12月号

第(3)章「恐ろしい電話」より

「き、きみはだれだッ。わたしになんの用事があるのだッ」


「用事はほかでもありません。あなたがだいじにしている、二十四個の宝石がいただきたいのです。むろん、あなたは、それをくれるはずはありません。ですから、ぼくがかってに持ち出すのですよ。びっくりなさるといけないから、まえもってお知らせしておきます。時間もきめておきましょう。あすの夜の十時までに、きっとちょうだいします。いくら、厳重に見はっていても、だめですよ。銀行の金庫にあずけるのも、危険です。それをはこぶ途中があぶないですからね。まあ、せいぜい用心してください。だが、いくら用心しても、だめですよ。ぼくは、魔法つかいですからね」

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