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第(2)章「巨人のかげ」より
きょうも、井上君のおとうさんにつれられて、いっしょに映画を見せてもらった帰りに、銀座でお茶をのんで、新橋駅のほうへ歩いていたのでした。
「あらッ、ピカッと光ったね。いなずまかしら?」
ノロちゃんが、びっくりしたように、いいました。ノロちゃんは、かみなりがきらいなので、いなずまにも、すぐ気がつくのです。
しかし、いなずまにしては、なんだかへんな光りかたでした。空を見あげると、星が出ています。かみなりの音もしません。
「いなずまじゃないよ。なんだろう?」
井上君も、ふしぎそうにあたりを見まわしています。すると、また、まっ白なひじょうに強い光が、銀座通りをかすめて、恐ろしいはやさで、サーッととおりすぎました。
「ああ、わかった。サーチライトだよ。デパートの屋上で、照らしているんだよ」
井上君のおとうさんが、ノロちゃんを安心させるようにいいました。デパートは、もう、しまっていましたけれど、屋上からサーチライトを照らすことは、べつに、めずらしくもありません。
「アッ、また、光った。なんだか、いたずらしてるみたいですねえ」
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