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「少年倶楽部 第二十六巻第一号―第二十七巻第二号」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年2月号
第(9)章「闇の階段」より
ところが、そうして、部屋の中をグルグルまわり歩いている内に、とつぜん、妙なことが起りました。小林君はびっくりして、もう少しでアッと大きな声を立てるところでした。
その時、小林君は右手で懐中電灯を持ち、左手で壁をなでながら歩いていたのですが、その壁の一部分がユラユラと動きだして、アッと思うまに、そこに大きな穴があいてしまったのです。
小林君は、はずみをくって、その穴の中へよろけこみましたが、グッとふみこたえて、よくしらべて見ますと、それはとなりの部屋へ通じるかくし戸だったのです。壁と同じ色にぬって少しも見わけがつかないようになっているドアだったのです。
どこかに、その秘密のドアをあける、しかけのボタンがあって、小林君の左手が、そのボタンにあたったのかも知れません。思いもよらず秘密の入口を発見してしまったのです。
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